最近雨ばっかりで撮影できないので、天文関連のツールばかり作ってます。
今回作ったのは、星図の上に、カメラで写る範囲(画角)の枠を重ねて、撮影の構図を考えたり、保存したりできるWebツール「Frame Atlas(フレームアトラス)」です。無料で、広告もありません。星図を見て画角を確かめるだけなら、登録も要りません。
👉 Frame Atlas を開く(PC・スマホ対応)
📖 使い方マニュアル

※ この記事の画面写真は、画像のライセンスの都合で、天の川の全天画像+VPHAS+ の背景で撮っています。ツールの初期設定の背景(北天の淡いもやもや)は、実際に開いて確認してみてください。
Frame Atlas でできること
- 視野枠の表示:焦点距離とセンサーの大きさを入れると、写る範囲が星図に枠で出ます。角度(向き)も変えられます
- 複数のカメラを重ねる:レンズと望遠鏡など、機材ごとの枠を色分けして同時に表示できます
- 天体の検索:メシエ・NGC/IC・コールドウェルのほか、暗黒星雲(LDN・バーナード)や輝線星雲(シャープレス)など、約1万6千件を検索できます
- 淡いもやもや(IFN)が見える背景:北天では、塵の広がりが見える画像を、初期の背景にしています
- 視野の保存:会員登録(無料)をすると、構図を名前・タグ・メモつきで保存でき、どの端末からでも呼び出せます
- 書き出し:保存した構図を、CSV・N.I.N.A.(Target Scheduler)用のCSV・Stellarium用のスクリプトとして書き出せます
- 見頃を調べる:視野の中心が、夜中0時ごろに南中する日を、アストロ・トランジットで調べられます
星図に視野枠を重ねる
右のパネルの「視野」タブで、焦点距離とセンサーの大きさ(幅×高さ、mm)を入力します。フルサイズ、APS-C、ASI533、SV605CC などは、プリセットから選べます。入力すると、写る範囲が度で表示されて、星図の枠も一緒に変わります。

カメラは何台でも追加できて、枠は色分けされます。角度は「北から東回り」で指定します。全部のカメラを同じ角度で回すことも、カメラごとに別の角度にすることもできます。
枠は、焦点距離とセンサーの大きさから計算した理論上の範囲です。レンズの歪みや、実際のトリミングなどで、写りとは少しずれることがあるので、目安として使ってください。
淡いもやもや(IFN)が見える背景
私が一番見たかったのは、IFN(星間の淡いもやもや)が写っている背景でした。そこで、北天では、Stefan Ziegenbalg さんの狭帯域サーベイ(NSNS)の、Hα を除いた自然色に近い画像を、初期の背景にしています。背景は、Hα を強調した画像や、赤外線の塵の分布、天の川の全天画像などに切り替えられます。
ただし、この画像があるのは、赤緯 −16° より北だけです。南天(射手座やさそり座の天の川など)は、天の川の全体像と、VPHAS+ の輝線星雲の画像で補っていて、北天のような淡いもやもやまでは見えません。南で使える公開データが見つからなかったためです。
構図を保存して、書き出す
構図が決まったら、「今の視野を保存」を押します。名前は、画面の中心に近い天体から自動で入ります。座標、角度、カメラの設定、視野の広さ、選んでいた背景、タグ、メモ、そのときの地図のサムネイルが、まとめて保存されます。
保存には、無料の会員登録が必要です。メールアドレスを入れて、届いた確認メールのリンクからパスワードを決めます。メールアドレスは、ログインとパスワード再設定の連絡にだけ使います。保存したフレームは、自分にしか見えません(1人100件まで)。

名前・メモ・タグで絞り込めます。保存したフレームは、次の3つの形式で書き出せます。
- 汎用CSV:座標、角度、カメラ、視野の大きさ、タグ、メモを含みます。Excelで開けます
- N.I.N.A.用CSV:Target Scheduler プラグインの「Import Targets」用です(名前・赤経・赤緯・回転角)
- Stellarium用スクリプト:スクリプト画面で実行すると、保存した構図へ順に移動して、視野を合わせます

書き出しの形式は、それぞれのソフトの公式資料に合わせて作っています。取り込みでうまくいかないことがあれば、教えてもらえると助かります。
撮影の見頃を調べる
「視野」タブの下にある「見頃を調べる」を押すと、視野の中心の座標が、以前作ったアストロ・トランジットに渡されて、夜中0時ごろに南中する日(=一晩を通して高く上がる時期の目安)と、今夜の観測に適した時間帯がわかります。保存したフレームのカードにも、同じ「見頃」のリンクがあります。
この連携のために、アストロ・トランジット側に、赤経・赤緯を入力して調べる機能も足しました。カタログにない位置(暗黒星雲や、撮りたい構図の中心)でも調べられます。
そのほか
- 夜間モード:画面全体を赤一色にできます。屋外で、暗さに慣れた目を保ちたいときに使えます
- スマホ対応:パネルは画面の下から出ます
- 日本語・English:画面の表示は、日本語と英語を切り替えられます(使い方マニュアルは日本語のみです)
- 天体の枠と名前:実際の大きさの楕円で表示します(暗黒星雲は点線)。表示する数は「少なめ・標準・多め」から選べます
全部の機能を、画面つきで説明した使い方マニュアルも用意しました。
使った画像とデータ
星図の画像は、配信元の公開データを使っています。北天の背景は Northern Sky Narrowband Survey(© Stefan Ziegenbalg、CC BY-NC-SA 4.0)、天の川の画像は ESO/S. Brunier(CC BY 4.0、HiPS形式への変換と座標の補正は自作)、南天の銀河面は VPHAS+(© ESO、CC BY 4.0)です。天体のデータは OpenNGC(CC BY-SA 4.0)と VizieR/CDS のカタログを使っています。詳しい出典は、ツールの画面下の「詳細」に載せています。この記事の画面写真の背景は、ESO/S. Brunier(CC BY 4.0)と VPHAS+(© ESO、CC BY 4.0)です。
まとめ
個人が趣味で作っている無料のツールなので、内容を変えたりすることもあると思います。大事な構図は、書き出して手元にも残しておいてください。
雨が続いている間は、晴れたら何をどの向きで撮るか、星図の上で考えておくことにします。使ってみて気づいたことがあれば、コメント欄で教えてください。